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Digital 四季彩感-森羅万象-PhotoBlog

美しき日本

今に始まったことではないが毎日、毎日起こる荒ぶ事件にうんざりだ。
どうしてこんなに荒廃してしまったのだろう。
心ばかりでなく、野も山も荒れ狂っている。今夕のニュースで岡崎市の中心街にもニホンザルが現れたという。岡崎市は「人に危害を与えない限り、静かに見守りたい」というコメントしたという。クマでなくてよかった。

視野を狭くもてば人も動物も住み難くなった日本か?
でも、広く持てば、この日本は特有の文化や自然、風景が豊富にある。
私がニッポンの風景の美しさに魅了されたのは「上高地」であった。はじめて見た「大正池」や河童橋付近から眺めた「穂高の山稜」は実に美しかった。もう25年も前のことになるから、大正池でも今と比べ物にならないくらいに水没した枯れ木立が綺麗であった。
残念ながら観光で行った訳ではないので、浮かれ気分はなかった。
神戸で苦学生をしていた頃、「これは美味しいアルバイトだ」と思って飛び込んだのが、某新聞社系の旅行の添乗員であった。1回生を無事に終え、2回生になろうとした頃に巡り合ったアルバイトであった。新聞社系の旅行社なので、客層は熟年以上老人が大半、企画も温泉モノや寺参り、今でこそメジャーであるが、当時としては秘湯や聞いたこともないマイナーなところに行くツアーが多かった。アルバイトとは言え、最初の1回だけベテラン社員に同行して、実習をするだけ。2回目からバス1台分のツアー客を引率して動くのである。途中で何が起ころうと、現場の判断を任されるのである。
添乗員駆け出しの頃は、週末を中心に日帰りの寺参りが多かった。(おかげさまで西国三十三ヶ所は人生の序盤にして全てお参りできた。般若心経も途中まで覚えた)そんな経験を重ねながら、だんだんと遠出をしてゆくことになる。中でも印象深く、前述の「美しさ」を感じたのが、上高地であった。添乗員になって数ヶ月目たった頃だったと思う。それから、好んで「上高地」が絡んだツアーは率先して選択していたものだ。3年間の添乗員経験で語りつくせないほど悲喜こもごもの思い出もあった。上高地でも2度の地獄を味わった。今でこそ、平湯と沢渡はトンネルで結ばれて便利になったが、当時は安房峠である。安房峠は道幅が狭く、ヘアピンカーブの連続。これが夏の観光シーズンになると、大型バスと乗用車がひしめきあって通行できない。バスのドライバーもイライラなら、ツアー客もイライラである。イライラしていても、ラチが空かない。若いバスガイドが乗っていれば、バスガイドが「露払い」に峠を走り込むのであるが、なんせ乗客も年寄りならバスガイドも・・・である。ドライバーと添乗員の視線が会ったら、暗黙の了解事項となる。添乗員が露払いで峠を走り込まなくてはならない。秋たけなわの折に峠の下から峠付近まで露払いをした思い出がある。また釜トンネルも新トンネルでスムーズに通行できるが、当時の釜トンネルは高さがなく、当時、流行りだしたセミデッカーやスケルトンバス(二層ではないやや屋根が高いバス)が通過できなかった。神戸から俗にいう「平ボデー」バスでいくのはつらかったものだ。それでも、秘湯「泡の湯」や新穂高、平湯温泉の露天風呂で癒されるのは、なんともいえない心地よさと添乗員冥利であった。
添乗も実績を重ね、2年もすればベテランの域に入ってくる。
2年目頃になってくると、添乗実績に応じて行きたいところを好きに選択できるようになってくる。
九州、北海道、沖縄へと毎月のように飛び回っていた。さすがに北海道や沖縄になってくると年頃も近い若い客が老人の中に混ざっていた。こうなると添乗員は目の潤いもできて、仕事がより楽しくなるものだ。沖縄は台風に泣かされることがり、あまり好まなかった。専ら、北海道はよく行ったものだ。おかげで人生の伴侶と北海道で知り合うことになってしまった。
3年目になると、学業はそっちのけで添乗に打ち込んでしまった。1年365日、200日強の添乗に出ていた。いまだに、大学が卒業できなかった夢を見て飛び起きることがある程である。

3年にわたって、いろんなことがあった。旅行社の収益源、土産物屋のウラ事情、語るに語れない話、びびりまくったあちらさん筋の団体貸切、バスガイドなしの1泊2日ツアー、長崎豪雨の直撃・・・・・・。
そのおかげがあって、ビジネスパーソンとしてのさまざまな基礎ができたし、何より、タダ、否、報酬に朝昼晩の食事、寝床、おまけに土産物付で「美しい日本」を沢山見ることができた。
それが今のライフワークにつながっていることも確かである。
こんな貴重な体験ができたアルバイトに今もって感謝である。
また、折に触れ、よもやま話でも書き込みたいと思っている。

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by crewcs77 | 2006-11-09 21:58 | アラカルト