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Digital 四季彩感-森羅万象-PhotoBlog

ニホンザルの生態

地獄谷のニホンザルを追いかけているとさまざまな場面に出くわすことがあります。
この25日に訪れたときは、オスザル同士が死闘を繰り広げた後で、壮絶な怪我をした順位No2の姿がありました。遠目でも上半身は血で染まり、怪我をしていることが判別できました。近寄って見てみると、顔が崩れおり絶句、ショック症状もあるのか身震いをしている状態でした。件のグランプリを受賞した公苑スタッフT.Hさんは記録目的で撮影を始めましたが、さすがに私は目視するだけで、レンズを向けることができませんでした。この時期は交尾期でもあり、メスの取り合いによる決闘は頻繁に起こるものですが、スタッフもここまでの大怪我はなかなか見たことがないという悲惨な状態でした。
思わず、私は「ドリー&テリー・ファンクス兄弟VSブッチャー・シーク」のプロレス場面を思い浮かべ、このオスがテリーなら、どこかにブッチャーかシークがフォークを持って隠れているはずだとスタッフにジョークを飛ばしながら廻りを見渡しました。
昼過ぎに喧嘩相手が現れました。順位No3が相手で、No3も右腕が大きくえぐられ、上唇の上が欠損し、血染めになっていました。
これも野生に生きる動物たちの厳しい一面です。
このサルの状態、あるいはその経過は・・・・・・
興味がある方は地獄谷野猿公苑公式HP-フィールドノートをご覧下さい。
http://www.jigokudani-yaenkoen.co.jp/

ほかに、ニホンザルは4月下旬から6月上旬くらいにかけて出産期を迎えます。
人間同様、生まれた子ザルはかわいいものですが、時には生まれた命が育めないこともあります。命尽きた子ザルを母ザルはボロ切れのようになるまで抱いていることもあります。サルですから子供が死んでいることは知っているはずだと思います。人のように感情はないでしょうが、本能がそうさせるのでしょうか。詳しいことはわかりませんが、見るに耐え難い母親の姿があったりします。

サルは昔からズル賢く、ダーティーなイメージがつきまといます。
また昨今では猿害などが誘発され、サルと共存できない地域も出始めています。
サル以外にクマやイノシシ、シカといった日本に生息する野生動物たちは受難の時代を迎えています。言うまでもなく、彼らが一方的に悪いのではありません。人が近代文明の中で見誤ったことを彼らは警鐘しているのではないかとも思います。
全国的に有名になった日光のサルを例にとるなら、彼らは静かに山に暮らしていたはずです。ところが、たまたま人と遭遇して、人がかわいさ余って、食べ物を与えたことから、群れ全体に波及して略奪サルと変貌していきました。悲しいかな、山岳景勝地「上高地」でも同様の事態が起きはじめています。
野生動物と近づけることは非常にありがたいことですが、野生動物を不幸にしないためにも絶対に餌を与えないで下さい。

ちなみに一時期、日本には沢山の野猿公苑が隆盛を極めました。しかし、現在ではその数は極僅かになりました。観光資源として採算性悪化に伴い放棄したところもあれば、サルの生態を十分に把握しないまま、管理不能になったところもあります。
地獄谷野猿公苑では、長年の生態調査、研究により綿密なサルの行動管理が行われており、野生ながら、人とサルの共存が図れるエリアになっています。人間もサルもお互いがルール、掟を守ることで世界に注目される秘境になっていると思います。

寒さが厳しくなり、地獄谷にも風花が舞い始めました。
サルたちも寒さをしのぐために、温泉に浸り、くつろぐ姿が見られる季節となりました。
ぜひ、冬の風物詩「温泉ザル」を見に、地獄谷へお出かけ下さい。
ここの風呂だけは、覗き見自由ですから。

ニホンザルの生態_e0056449_2283043.jpg

by crewcs77 | 2006-11-29 22:08 | 動物